つばきファクトリー『初恋サンライズ』の「ハロプロ感」

2017年も残るところ、2ヶ月を切った。

今年のハロプロの楽曲リリースは、11月のアンジュルムが最後だろうか。

 

ということで、今年を象徴するハロプロ楽曲となった、

つばきファクトリーの『初恋サンライズ』について振り返ってみようと思う。

 

『初恋サンライズ』 

作詞 井筒日美 作曲 山田祐輔 編曲 近藤圭一


つばきファクトリー『初恋サンライズ』(Camellia Factory [First Love Sunrise]) (Promotion Edit)

 

この曲は、つばきファクトリーのメジャーシングルである。

今年のハロコン初日1/2に初披露された。

 

私は1/8のハロコンで初めて聴いたのだが、

感想を一言で言うと、「ハロプロ感」だった。

この「ハロプロ感」に沿って、考察していきたい。

 

そもそも、「ハロプロ感」とはなんなのか。

一昔前のハロヲタの感覚になるのかもしれないが、

今回は、主に「楽曲」、「歌割り」、「現場」という3つのキーワードから話を進めていきたい。

 

つんく氏の楽曲

  

長年、総合プロデューサーを務めたつんく氏の楽曲は、ハロプロの象徴であると思う。

つんく氏の個性的な楽曲や歌詞、それらの歌唱法や表現方法まで含めて、ハロプロ感を味わうことができる。

私はこれが本当に大好きだ。

 

『初恋サンライズ』は、つんく氏の楽曲を意識して作られたように感じる。

サビとイントロをみてみよう。

 

以下、1番のサビ頭の歌詞である。

サンライズ 何かが始まる予感

熱く鼓動かき鳴らしてゆくの

「始まる」、「してゆくの」のところが、ブルーノートになっている。

つんく氏の楽曲の特徴の一つとして、ブルーノートを加えるということが挙げられる。

1番盛り上がるサビ頭のメロディーラインが、つんく氏を意識して作られたように感じるため、楽曲の印象にハロプロ感が残る。

 

特に、℃-uteの『Love take it all』は参考にしているように思う。

キーが同じで、サビのブルーノートを加えたメロディーラインが似ている。

また、サビ前の♪夢が~夢が~♪のところも、影響を受けているのではないか。

 

 

 

次に、以下、イントロの歌詞である。

洗いざらい さらけちゃって

古い世界 飛び出ちゃって

A Lie The Lie さらけちゃって

Fly 世界 飛び出ちゃって

「洗いざらい」と「A Lie The Lie」、

「古い」と「Fly」が韻を踏んでいる。

 

これもまたつんく氏の楽曲の特徴の一つであるが、歌詞をリズムにのせる、巧みな言葉をしている。

つんく氏は、作詞における言葉のチョイスが天才的だ。

普段からリズム感を重視しているが、作詞家・作曲家である以前に、ボーカリストであるため成せる技であろうか。

このイントロでも、韻を踏んでいるところからハロプロ感が伝わる。

 

Juice=Juiceのメジャーシングル『ロマンスの途中』のイントロでも、同じように韻を踏んでいる。

「愛してるわ」と言え!

はっきり口に出さなきゃ すごい やばい

I still love you! Yeah

街中が愛し愛され Do it do it

 

 

 

ソロパートの存在

 

ハロプロの楽曲では、ソロパートをつないでいくのが特徴のひとつである。

サビは、ユニゾンから始まり、途中からソロパートを挟むということが多い。

『初恋サンライズ』もこれに倣っており、ハロプロらしさが感じられる。

 

1番のサビ後半では、以下のように、山岸→浅倉とソロパートが続く。

「好き」じゃ足りない(山岸)

気持ち、何なの?ドキドキの(浅倉)

同じフレーズで大サビでは、秋山→岸本という歌割りになっている。

 

特に盛り上がるところは、つばきファクトリーの中でも歌唱メンである浅倉、岸本が歌っている。

 

一方、2番サビのソロパートでは、以下のように、谷本→小野田という歌割りになっている。

甘酸っぱい(谷本)

味はどんななの?高鳴る(小野田)

この2人は、浅倉、岸本と比べると、どちらかというと歌唱メンではないと思う。

しかし、2番サビでこの2人にソロパートがあるというところが、非常にハロプロっぽい。

個人的には、小野田パートがとてもツボで最高である。

私は滅多に跳躍しないが、心の底から跳びたくなる。

 

 

サンライズジャンプ」

 

1番のサビ頭、

サンライズ 何かが始まる予感

「サ」のところは、両手を上げてジャンプする振り付けになっている。

公式での発案で、「サ」のところで、ヲタクも同じようにジャンプすることを推奨している。

その名も「サンライズジャンプ」だ。

実際、現場ではヲタクが一斉にサンライズジャンプをして、かなり盛り上がっている。

この「一体感」と「跳躍」が、「ハロプロ感」である。

 

一昔前までの現場の話になるが、周りを見渡せば、跳び散らかしてるヲタクがたくさんいて、見えないなあと思うことがありながらも、ハロプロの現場にいることを実感できた。

現場系ヲタは跳ぶのが好きな人が多いと思うが、昨今のハロプロ現場では、ジャンプ行為(マサイ、推しジャンさえも?)禁止の流れがある。

しかし、『初恋サンライズ』という楽曲と、その振り付けのおかげで、ヲタクが一斉に跳んで、現場のハロプロ感が演出されている。

 

余談になるが、ジャンプ行為禁止については、推しジャンぐらいは許容範囲ではないかと個人的に思っている。

思わず身体が動き出すような素晴らしい楽曲、パフォーマンスを目の前にしても、光る棒を規則的に振り続けなければならないのは寂しいものである。

 

以上、「楽曲」、「歌割り」、「現場」の3点から、『初恋サンライズ』の

 ハロプロ感について考察した。

ハロプロの楽曲に関して、ハロプロ感があると評するのはおかしなことである。

しかし、つんく氏が総合プロデューサーから退いてから「ハロプロだけどハロプロじゃない」と思うこともあるくらい、ハロプロは変わった。

私の考える「ハロプロ感」とは、つんく氏が総合プロデューサーであった時代から感じられるものであり、それが大好きである。

どんどん変わっていくハロプロだが、この「ハロプロ感」は引き継いでいってほしい。